森美術館、鳴り物入りで本日オープン。


まあ、色々あるんだろうけど私は森 稔さん
(森ビル株式会社代表取締役社長)の意見には
好意を持っている。

  • 以下、月刊ギャラリー10月号より


「欧米では、仕事が終わった後の話題は芸術や文化の
話題が多い。そうなると、日本人はついていけないのが現状。


戦後、欲しがりません勝つまではじゃないけど、
仕事が第1だった。そして衣食足りて礼節を知る、
じゃないけど、こと文化に関することになると道楽だと
許さないというストイックな風潮が続いてきた。


でも、現在は衣食足りてが当たり前で、文化的な生活が
豊かということが大切な時代になっている。
そのために、我々、場を提供する側が、できる限りの
ことをして行かなくては、と思った。」


「僕らは、世界に向けて交流していけるレベルの
美術館をつくるということを最初から心がけていた。
やっぱりニューヨークでもロンドンでもパリでも、
美術館や博物館めぐりをしているのが観光とか
交流の中心だから、東京だけ違うというのはよっぽど
魅力のない、世界から見に来るということをてんで考えない
展覧会をやっているということじゃないかと思う。」


私がロンドンに留学中、一番、衝撃を受けたのは
普通のサラリーマンやおばちゃん、子供連れの女性、
老人など、色んな人が、普通にギャラリーを訪れて
いるということだった。
アートというものがきちんと社会に入り込んでいるという
現状は、日本のそれとはほど遠かった。
だから、ターナープライズがTVの特集になりえるのだ、
と思った。


それに比べて日本は…と嘆くのは簡単だけど、じゃあ
どうしたら良いかを考えている人は、意外に少ない。
ほとんどの人が愚痴止まりで、時たま
「アートを日常に」というスローガンを掲げている
イベントや会社を見ることはあるけど、大抵が
アーティストからお金を取ってもうける自転車操業式の
会社か、内輪受けの自己満足イベントかどちらかに
思える。


そういう意味では、森社長は少なくとも行動を起こした
訳で、それは十二分に評価に値すると思うのだ。
観光地の、展望台と合体させるというアイデアもすごく
良いと思う。先日開催された、"Artists by Artists"にも、
観光ついでといった子連れの親子や、社会人カップルも
ちらほら見かけたし。
そんなわけで、頑張って欲しい。森美術館
そして、キューレターであるデヴィッド・エリオット
さんにも期待してる。